私には2歳の息子がおります。
その息子を妊娠している3年前
とあるデパートで曲げわっぱを作る職人さんに出会いました。
彼は私のお腹を見て突然こう言いました。
「本物を知らないと、子供に本物を伝えることはできないよ」
この一言を言われた時
私はこの人はただものでない！とすぐに思いました。
彼は続けてこう言います。
「本物のおひつはね、夏でも3日はごはんが腐らないんだよ」
これには驚きました。
夏に3日もごはんが腐らないって一般常識ではありえない話です。
皆様も、え！？って思われたかと思います。
でも、今では納得いく話です。
本物のおひつはおひつ自体が生きているんです。
生きているということはおひつが呼吸をしています。
余計な水分や雑菌の処理は生きたおひつがしてくれます。
だからごはんが腐らないのです。
本物は生きているのです。
本物に触るとエネルギーが満ちていると
感じるのはこのせいなのでしょう。
服でも雑貨でも家でも何でも
本物からは何かを感じますよね。
ある日、私はそのおひつが急にほしくなりました。
がとても高いのです！さすが本物。
というわけで
私のお財布事情で曲げわっぱのお弁当箱を買うことにしました。
といっても今や人気の製品なので半年待ちです。
そして、先日ようやく手元に届きました。
曲げわっぱのお弁当箱はたくさんの種類が世に出ていますが
持って触ると他との違いがよくわかります。
さらに、あのおじちゃんの手作りかと思うと
また喜びも増します。
素晴らしい香りのするお弁当箱は
私のランチタイムを至福のものにしてくれます。
手抜きでも品があるお弁当に見えてしまうのはなぜでしょう笑。
早く息子がこのお弁当箱を持って
どこかへ行くようになるのが楽しみです。
プラスチック容器のお弁当箱との違いに気づいてくれるでしょうか。。。
皆様のご自宅には子供や孫に
ちゃんと伝えることができる本物はありますか？
本物は決して安いものではないですが
かといって高価なものだけが本物ではありません。
例えば、葉っぱがついたままの人参、捌かれていない魚
それらを料理する道具や調味料、料理を盛るお皿や箸
食事をするテーブルや椅子。。。
など挙げだしたらきりがないのですが
ぜひ1つでも多くの本物に囲まれて生活してみてほしいです。
そして
本物をご自身で嗅ぎ分けられるようになってほしいです。
今は本物に似せた偽物がたくさんあります。
消費者の選別能力が低くなっているのをいいことに
本当にたくさんの偽物が存在します。
けれど
まだまだ本物がたくさんあるのも事実です。
そもそも本物って何？
という声が聞こえてきそうですが
それもまたご自身で掴むものだと思います。
例えば、味噌。
スーパーに並んでいるものの大半は
私から言えば味噌ではありません。
味噌は3年寝かしてはじめて味噌と呼ばれるそうで
それ以前に出来上がったものはみんな手前味噌です。
手作りしたことがある方は知っているかと思いますが
あんなに大量に味噌がどんどんお店に並ぶことは
本来難しいはずなのです。
けれどそれができるって一体どういうことなのだろう？
と考えてみれば
スーパーに並ぶ味噌が本物か偽物かはすぐにわかるかと思います。
そう
本物は少し頭を使えば簡単にわかることばかりなのです。
それが本来どういう過程でできあがっているのかを知りさえすれば。
昔、味噌はみな手作りでした。
だから
味噌がどういう過程でできあがるか知っているのが当たり前でした。
しかし
今では味噌を家で仕込んでいるところは少なくなってしまいました。
当然、その子供や孫も
味噌が本来どうやってできあがるかを知っていることは
当たり前ではなくなってしまいました。
私もつい5,6年前まではちゃんとは知りませんでした。
工場で短時間でできあがり
出汁入り味噌が本物だと思っている人が多くなっているかもしれません。
これがとても恐ろしいことだということがわかりますか？
社会が変わり
味噌を家で仕込まなくなったとしても
味噌が本来どうやってできるかを
知っている必要はあるかと思います。
これを知っているから
本物を見分けることができるのです。
足し算引き算も確かに大切です。
ですが
もっと大切なことは本物を自分で嗅ぎ分け
それを選び
本物と共に暮らすことではないでしょうか？
その力は
まず私たち大人から取り戻さないと
子供や孫には伝わりません。
「次の当たり前をつくろう」
今、JRの駅で見かける新幹線のポスターはご存知ですか？
私はこれに少し違和感を感じました。
変化してよい当たり前と
変わってはならない当たり前があると思うのです。
本物の味噌の作り方を知らない
子供たちばかりの世の中にしてはダメだと
感じる人が増えてくれることを切に願います。
今のあなたは
本物を嗅ぎ分けられますか？
