2013/02/08

自分のペースと世界


この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。
世界はきみを入れる容器ではない。

池澤夏樹のスティルライフという小説の冒頭。
世界の中心に自分がいるのではないことを思う時によく思い出す。
私の中に世界がある。
正確にいうとこの世界を作っているのは自分だ。
でもたまにこうも思う。

世界ときみは二本の木が並んで立つように
どちらも寄りかかることなく
それぞれまっすぐに立っている。 
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。
それを喜んでいる。
世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。 

スティルライフの冒頭から続く次の文章。
ある日、これをよく感じた一日だった。

世界と私には大きな溝、線引きがあった。
ちょうと駅のホームとホームのような感じ。
世界はとても忙しなく
ちょっとした戸惑いと矛盾に満ちていた。
私はそれをどうしてそうなってしまうのだろうと
ただ眺めているような感じだった。
時間の流れ方が全く違ってしまっていた!
他人事に捉えていると言われてしまえば
そうともとれるだろう。
でもそれを解決しようと世界に足を踏み入れると
とたんに問題が消えてしまい
また世界と私に距離ができるような感じだった。

自分のペースが保てたからではなかろうか?
世界にはペースを乱すものが恐ろしいくらい存在する。
ペースを合わせる重要性もあるが
ペースが乱されることはあまりよくない。
乱れは二次災害を発生させる。
早い遅いに関わらず
違うペースにシフトチェンジする際ですら
自分のペースでシフトチェンジが必要ではないだろうか?
でも本当にいろんなペースがあり過ぎて
一体どこに合わせればいいのかわからなくなることがある。
そのチューニングに疲れている人も多いだろう。

タイミングとかペース配分とか空気読むとか
いろいろあるかもしれないけど
健全な姿は
まず自分のペースを保持して余裕をもつことかも
って思った。

スタンディングオベーションのように
心から送る拍手は
いつかシンクロして揃うんだから。